神戸異人館今昔

19.華僑総会

華僑総会

この建物は、山本通り二丁目と三丁目の接するところの三丁目側山側にある。

元は山側角から二軒目だったが、現在は角が、空地になってしまい、二丁目と三丁目の角に立てば、すぐ目につく白い建物である。

もうずいぶん長く塗り替えられないので、白が汚れて、絵にするにはもってこいのムードになっている。黄緑の鎧窓、濃緑の鉄柵。さらにこの色彩効果を交響楽的にしているのは、屋根についた赤煉瓦の煙突である。

もしこの赤い煙突がなかったなら、この異人館もさびしかっただろうと思われる。前庭には青あおとした芝生があり、季節ごとに木の葉の色が変わるよう、いろいろな樹が植えられてあって、実に楽しい。

だが、この建物もいつまで持てるだろうかと心配である。と言うのは、台湾華僑と中国華僑との間で、この建物の所有権問題でもめごとがあり、建物の裏側は四枚のベニヤ板を煉瓦塀の上に立てて家をかくし、前は固く門扉が閉ざされて、扉には白々と貼紙がしてある。まことに惜しむべし。