作品紹介

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英三番館

英三番館
油絵・F50号(91×118・)/ 制作=1938〜1940年

油彩1
英三番館 オリバー・エヴァンス商会
ガス灯のある風景 元居留地・浪花町風景
江戸町懐古 古い門・古い家
山本通り風景(グリーンのよろい窓) 山本通り3丁目風景
両替店 白系ロシア人の家
<<解説>>

メリケン波止場を北に少し上った、もと居留地西町、今の南京町通、郵船の上にあった、トムソン商会の建物だ。

居留地の中でも、壁カンバンのあるのはこのトムソン商会とオリバー・エヴァンス商会だけであった。

店は雑貨屋、異人さんのデパートで、数々の代理店もかねていた。2階には日本に関する本、文献が、10m以上もあるたな2段2列にギッシリとつまっていた。戦争が始まって、閉店になる時、この本全部をロギス古書店のオヤジさんが買いとっていった。

この建物を、僕は8年も描いた。
毎年一年づつ、これは2年以上かけてかいた、8年目の作品である。(他の絵はみな、行先不明である。)

技法は、グラシ(グレース)を主に使っている。ファウンデーション(地塗り)を白っぽくし、ルフランのパンドール油をつかって上に透明な色をかぶせていく方法である。

建物の重厚さ、かたさ、をこの手法でだそうと思った。

かいていたある日、2代目店主のグリヒス氏が、「君、この絵を参考にしたまえ」と、僕が以前に描いた絵のカラー絵葉書を持ってきてくれたのは、愉快な思い出である。

戦災で消失、焼けたあとに、基礎の石積みだけが残っていたのが、あわれをとどめた。