小松益喜を語る

伊藤誠 南風対談 わが青春の日々 森田修一
廣田生馬 和田青篁 父を想う

「宴会芸とは無縁の人」の心遣い

敬虔(けいけん)なクリスチャンの家庭にお育ちの小磯さんは、幼少時代すでに、この元歌である賛美歌第312番を、熟知しておられたはずである。

後に紹介するが、幼年時代の小磯さんが、「美しい宣教師」と心から慕われた、神戸教会オルガン奏者ミス・ハウ。小磯さんの幼な心に、「美しい女性(ひと)」を感じさせた、その彼女に寄せる思いが込められた歌が、この元歌の賛美歌第312番に違いないと、私は心ひそかにそう信じている。

一方、『第一回新制作派展』打ち上げに歌われた『星の界』の歌詞は、小磯さんにあっては大正6(1917)年中学に進んでから、たぶん「唱歌」の時間に、学ばれたであろうフシがある。『教科統合中学唱歌集(二)』というのは、小磯さんが中学生時代に使用されていた教科書だからである。

この思い出深い賛美歌第312番の曲に、新制作派協会の門出の日にふさわしい歌を重ねられたところに、小磯さんという人の実に枠(いき)な心遣いを見るというのは、うがち過ぎというものであろうか。